2000/4/10
イスラエルの学生、宇宙で“科学の庭”を学ぶ(スペースニュース)
イスラエルの中学生によって計画された化学実験が、来年早々米国のシャトルで行われる予定である。この計画は、教育プログラムの一環としてワシントンに本社を持つスペースハブ社が支援している。
イスラエルのテクニオン(Technion)リサーチインスティチュートの材料工学教授であるYigal
Komem教授によると、この“科学の庭”と呼ばれている実験は、無重力状態下でコバルトとカルシウムの化合物の成長を実証するものである。
スペースハブ社のS*T*A*R*S(TM)プログラム実験の一環として100人近くの中学2年生と3年生の子どもたちが参加する。オーストラリア、中国、シンガポール、アメリカのそれぞれの学生もまた、(インターネットを利用した)オンライン教育セッションを通して、STARSプログラムに参加する。
STARSプログラムのイスラエル担当部分はイスラエル教育省が65%、Technionが35%資金を提供している。この実験は、今、NASAで訓練を受けているイスラエル人宇宙飛行士によって実験が行われる。打ち上げは2001年早々である。イスラエルの宇宙局局長であるAby
Har-Even氏によると、このシャトルミッションでは、STARS以外に、大気エアロゾルとそれらの地球規模の気候への影響に関するデータを収集する目的で、地中海沿岸とイスラエル沿岸の粉塵実験装置(Mediterranean-Israel
Dust Experiment"が搭載される。
しかしながら、Har-Even氏は、このシャトルミッションは、NASAの国際宇宙ステーション打ち上げ優先のために2001年後半まで行われない可能性があることを示唆した。
Komem教授によると、Haifaの北にあるOrt
Motzkin中学校の学生達によって計画されたこの“科学の庭”実験は、2月初めに審査委員会の決定で選ばれ、3月初めにはスペースハブ社によって承認された。彼が言うには、物理学と生物学に関連するその他の2件の実験も選ばれた。
「学生たちは地球で成長した化学繊維が平坦な表面上にあるとき上に向かって成長する事を発見した。しかしながら遠心力の働く環境下では、遠心力の反対方向に成長が起こるということも実証した。疑問なのは無重力もしくは微小重力状態のときにもどのようなことが起こるかということである。学生は、“球体のようになる”とか“スパゲッティのようにぐちゃぐちゃになる”というような仮説を立てている。これらは推測である。我々は成り行きを見守るべきである。」とKomem教授がSpace
Newsで語っている。
Komem教授はカルシウム化合物は白く、その一方でコバルト化合物は水の中で生成すると青みがかった色合いになることが特徴である。イスラエルの国の色(国旗の色)は青と白なので特別な感じがした」と彼は語った。
彼は、この実験装置はスペースシャトルシャトルミッションの標準的な時間である2週間以内で結果がわかるように設計されていると述べている。“科学の庭”実験は、重要なミッションで忙しい宇宙飛行士によって四六時中管理されている必要がない。宇宙飛行士の時間のたった1分だけ費やすように設計しなければならなかったとして、実験装置の運用の簡便さをアピールした。
イスラエル教育省のプロジェクトコーディネーターであるHana
Vinnik氏はスペースハブ社のSTARSプログラムを賞賛し、学生を参加させるプログラムが毎年できることを期待している。このプロジェクトが毎年ごとの行事に発展させたいし、そのことでより多くの学生や学校が関われるようにしたい、と語っている。さらに、宇宙化学の課題はイスラエルの公立学校のカリキュラムに新たに加わるとし、それは、もっと若い世代に宇宙の興味を増やすことが教育省の意図するところであると、期待を語った。
(訳:スペースレフ:横島)