2000/4/10
子ども達が取り上げたプログラム、シャトルで宇宙へ(スペースニュース)
米国の会社がスペースシャトルや国際宇宙ステーションでの実験を学校が自らデザインできるプログラムによって世界中の学校に宇宙環境を提供しようと準備中である。
Space
Technology and Research Students(通称 S*T*A*R*S)プログラムで知られているこの商業目的の事業は1999年の夏、2つの民間資金援助のもとでNASAの軌道上望遠鏡のChandraX線天文台がスペースシャトルで運ばれたことで一躍有名になった。
STARSプログラムへの需要は、開始して以来急増している。スペースハブ社は、2001年初頭に予定されているNASAの次のスペースシャトルミッションで実験を行う。通常問題なく実験を受け入れることが可能な数の2倍の学校から実験希望の申し入れがある。
NASAは来年STS-107を打ち上げるが、この際に、世界中の学生によってデザインされた6つのシンプルな実験装置が軌道上に運ばれ、実験用ロッカーの1つに入れられる。スペースハブ社は通常、重要な研究者のために100万ドルする実験スペースを確保している。その同じロッカーを、学生実験のために確保してSTARSの実験を行おうとしているが、スペースハブ社はこれによって36万ドルの売上を生み出す。ハブ社副社長で、科学保健サービス担当科学主任研究員のBernard
Harris氏は、STARSが同社の今後の目玉商品になるだろうとは語った。
「たくさんのお金が発生することを期待しているプログラムではない。しかし宇宙と宇宙商業化を一般に認知してもらえるという意味では大きな可能性がある。」と、Harris氏はインタビューの中で語った。
上級副社長で営業販売を担当しているKearney氏によると、STARSプログラムには巨大市場の可能性を秘めていると期待を語った。最も一般的なケースとして、地元のスポンサーによって援助を得たわずかな数の学校は、学生実験を行うために、スペースハブ社に6万ドルを支払う。その他の数千の学校が教室からインターネットを通じて参加するのに、約300ドルを支払う。
「この値段は学校レベルで考えると大変安い。」とKearney氏は述べている。「大規模市場を作ることにより、STARSは最終的に数千、数万の学校が参加することになる。スペースハブ社はすでに北京からニューヨークまで3,500校以上と契約を交わしている。6つの学校は自ら考えた実験装置を打上げるために6万ドルを払う。その他の学校は基本的には”肩越しに見る”ことによって2001年シャトルミッションに擬似的に参加することになる。」と、Harris氏は述べた。参加する学生のほとんどは4〜7グレード(注:小学校高学年から中学校低学年)である。
一方、6万ドルはとても高額のように見える。しかし、十分に資金のある学校には可能であるが、ほとんどの学校は地元に実験を理解してもらい、資金援助を探すことになる。
「チリの実験が完璧な例です」とHarrisは語った。チリの女子高校で最初のSTARSでてんとう虫の実験を行った。市長の支援で地元銀行とラジオ局から実験資金を得ることができた。300ドルクラスで参加している学校もまた、地元地域から資金を得ている。」と彼は語った。
新しいすき間市場を開発するためには、スペースハブ社にとって非常によい方法である。そして、多くの人たちの宇宙に対する興味を生み出す。
「もし、将来、ある市場を開発しようとするとき、将来ビジネスを立ち上げようとしている若い人たちと深くかかわるというのもその開発を実現する1つの方法である。」
会社としてはSTARSプログラムをスペースシャトルから国際宇宙ステーションへ移す予定である。
スペースハブ社はSTARS実験のためのロッカーを2つ用意する予定である。Enterpriseは、スペースハブ社とロシアのRocket
Space Corporation Energiaと共同で民間資金で製造される宇宙ステーションモジュールである。Kearney氏は将来有望な市場として“edutainment”市場を予想している。実際にEdutainmentビジネスを行うため小規模な放送スタジオをモジュール内に設置している。この計画中の1億ドル与圧モジュールは国際宇宙ステーションのロシア側に接続され、宇宙飛行士1人が滞在する。
両社はEnterpriseを2002年に軌道上に打ち上げる計画をしている。
(訳:スペースレフ:横島)
≪予定されている実験≫