JUSTSAPとは?

      

 

 JUSTSAP(日米科学技術宇宙応用プログラム : Japan-US Science, Technology & Space Application Program)ワ−クショップは、2008年11月開催の会議で第18回になる。

”JUSTSAPとは?”という質問に答えるために、発足当初より尽力された創設者である黒田隆二氏の言葉を借りて説明する。

 「本JUSTSAPの発端は、1980年代末に日米の貿易アンバランスを反映し、米国がス−パ−301条をふりかざしてわが国に人工衛星などについて輸入を迫り、険悪な空気が充満していた時にさかのぼる。

 この事態が特に宇宙開発全般に及ぶことを憂慮した元NASA副長官であるジョ−ジ・ワシントン大学のエデルソン教授が、「日米の宇宙開発の歴史はインテルサット・システムの開発にみられたように、本質的に友好と協力を基調として発展してきた。 政府間の交渉の場では、貿易アンバランスの解消を急ぐあまり、日米間がギクシャクしたものとなっている。元の関係に戻すには、両国の産学官が個人レベルで裃を脱いでフランクに話し合える場の設定が必要である」と提唱し、それを基本として設立された。

 当初の構想は、ワシントンで1回、東京で1回開催したいとの提案であった。経費は日米が折半で拠出することとし、米国側は日米友好財団(本部は米国ニュ−ヨ−ク)の支援が見込まれるとのことであった。その動きを聞きつけた、ハワイ在住の元米国太平洋艦隊司令長官のヘイワ−ド提督は、その趣旨に大賛成し、さらに、「そのような性格の会議であるならば、ワシントンや東京で開催するよりも、両国の本土の中間に位置するハワイで開催するのが良い。会議の場所の設定等事務的なことは、私が引き受ける」と申し出てきた。」

 このような経緯で第1回の会合を1990年11月30日-12月1日にハワイのオアフ島にあるハワイ大学の東西センタ−で開催した。 会議は予想以上に活発で、色々な提案や議論がなされ、会議終了後の反省会で「継続して会議を続けたい」との強い要望があり、それでは議論の的を絞り有効な政策提言が出来るようワ−キング・グル−プ (WG) を作ろうということになり、国際環境災害監視衛星システム、衛星通信システム、小型衛星/発射装置およびインフラストラクチャ−、宇宙技術センタ−、の4つのWGが合意され、かつ継続して議論を進めることとなった。

  それぞれのWGの名称は変遷し、災害管理・観測(DMO)、衛星通信(SC)、小型衛星(SS)、微小重力実験(ME)、科学技術協力(STC)となり、宇宙応用、宇宙環境利用、宇宙エネルギーの3部会と国際宇宙ステーション商業利用、先進衛星通信・地球観測、宇宙エネルギー、月・火星探査ロボットの4プロジェクトチームで構成されるに至っている。

 微小重力実験WGの発足は、1996年開催の第6回JUSTSAPワ−クショップにおいて、当時(財)宇宙環境利用推進センタ− (JSUP) のフロンティア共同研究推進部長であった高松英男氏の努力により、科学技術協力WGから分離して新しくWGとなることが承認され、微小重力実験ワーキンググループとして活動を開始した。

 現在は、国際宇宙ステーション商業利用プロジェクトとPISCES(国際宇宙科学センター)計画に分化し、ISSの日本実験棟での長期宇宙実験の実施が開始された2008年は、特に"ISS のブランド化"を目指した取組みを進める。